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「出世鯉」と「龍」

出世鯉〜登龍門の伝説

「鯉」という漢字は、中国から渡ってきたもののようだと紹介されていました。「里の魚」という字をあてていることから、中国の人にとってたいへん身近な魚であると思われます。
鯉は、「コイ」ではなく「コヒ」と呼ばれていたとありました。語源は良く判りませんが、いくつかの説のうち、鯛との比較がしてあるのを面白く感じました。
例えば、『鯛(タイ)=大位と比べて鯉=小位で「コイ」と呼んだ。』とか、『鯛と比べて鯉は、小さく平たいので、小平(コヒラ)と呼んだ』などというものです。
中国の人が、鯛を海の魚の王様と思っているのかどうかが判りませんが、私は上記の説は日本人によるものだと感じています。
『登龍門の伝説』とは、中国の大河である「黄河」の上流に龍門という伝説上の地があり、その地に泳ぎ着いた鯉が、そこにある急流の滝を飛び越えると「龍」になるという伝説です。
「六々変じて九々鱗になる」という故事も同じで、六々魚(鯉の別名、一条の鱗が36枚)が龍(鱗が81枚と伝えられる)に変ずるという意味なのだそうです。ここから、「鯉」は川の魚の王様、あるいは出世魚として古来より珍重されたと云われています。
日本における出世魚は、成長に伴って名前を変える魚(鰤(ぶり)、鱸(すずき)、黒鯛、鯔(ぼら)など)のことです。それに対して鯉は龍(=皇帝)に出世するのですから、スケールが違いますね。

「龍」は伝説上の生き物で、水中や地中に潜み、時がくれば空へ昇って雲や雨を起こし、稲妻を放つと云われています。 
龍は万物の長と考えられていて、「龍の九似(九つの動物の特徴を持つ)」とは、その為であると云われているそうです。
その特徴は、頭は駝(らくだ)、体は蛇、腹は蜃(しん=大蛤(はまぐり))、角は鹿、眼は鬼、耳は牛、鱗は鯉、手は虎、爪は鷹。鱗は81枚、指は5本、口辺に長いヒゲがあり、牙を持つというものです。更に喉下にある1枚が逆鱗と呼ばれ、ここに触れるとその怒りは大層なものなのだそうです。
ちなみに長崎くんちにおいて、龍踊の元祖である「篭町」の龍は、5つ動物の特徴を持っているそうで、角が鹿、鼻と耳が牛、口が鰐(わに)、髪が馬、爪が鷲(わし)だと聞いています。
中国では皇帝を龍に喩えています。それは、龍が水の神(雨をもたらすもの)であるという古くからの信仰をうまく取り込んで、自らの地位を高く位置付け、シンボル化することによって権威を示しことに利用したと考えられます。
そのことに関連するのでしょうが、皇帝の龍は指が5本であるのに対し、その他の龍は、指が3本であったり4本であったりします。


平成16年05月22日公開